Lectical Leadership Decision Making Assessment

(LDMA)

LDMA(Lectical Leadership Decision Making Assessment)は、合衆国のマサチューセッツ州を本拠地とする発達測定を専門とするレクティカ(Lectica, Inc.)が開発した測定です。

世界には様々な発達段階測定の方法が存在していますが、レクティカの測定はそれらの中でも最も正確性の高いものとして世界的に認知されています。また、この測定は、他の発達段階測定と異なり、個人の意識の「重心」を把握するのではなく、われわれが具体的な課題や問題に対処する際に実際に発揮する「能力」を発達理論の観点から緻密に測定するものでもあります。そのため、ビジネス等の実務領域で活躍する人達の能力開発を支えるツールとして非常に親和性が高いものといえます。特に企業組織においては、CXOをはじめとする経営層の後継者育成計画と結びついた人事施策を推進していくうえで、経営を担うために必要とされる深層的能力を特定して、それらの能力を候補者が開発していくための能力開発計画を策定するための効果的な道具として活用されています。

https://lecticalive.org/about/ldma#gsc.tab=0

LDMAの重要な特徴のひとつは、個人の認知構造の発達段階にくわえて、それが実際の実務の領域においてどのように発揮されるかということに関して発達理論の観点から精緻な情報を提供するところにあります。

レクティカの調査によれば、現代社会においてリーダーのパフォーマンスにとりわけ大きな影響をあたえる要素には、下記の3つがあるといいます。

  1. 認知構造の複雑性(complexity):これは、「成人発達理論」において、「意識の発達段階」「認知の発達段階」と形容されているものです。人間は世界を観察するときにそれをありのままにとらえるのではなく、みずからの認知構造を通じて把握することになります。成人発達理論においては、この認知構造が成熟していればいるほど、世界を単純化することなく、それをありのままにとらえることができるといいます。即ち、世界の複雑性を損なうことなく、そのありのままの複雑性を尊重して理解することができるようになるのです。
    このように認知構造は、われわれが現実と出逢うときに、われわれの「目」として機能しているものだといえます。それがいかに現実の複雑性に開かれたものであるのかということが、それに続く「思考」や「対話」や「判断」や「行動」に大きな影響をあたえることになるのです。
    尚、他の発達段階測定(例:ロバート・キーガン(Robert Kegan)のthe Subject-Object interviewやスザンヌ・クック・グロイター(Susanne Cook-Greuter)のMaturity Assessment Profile)では、基本的には、この認知構造の重心がどのあたりにあるのかに焦点を絞り測定をすることになります。

  2. 明晰性(clarity):現実世界において、われわれはみずからの意志や意図や思考を言葉にとりまとめ、それを他者に向けて発信することをとおして意思疎通と共同作業をすることになります。たとえどれほど優れたアイデアがあっても、それをわかりやすい言葉にまとめることができなければ、無駄になってしまうのです。
    今日の実務の世界においては、われわれは複雑な案件に関して、様々な利害関係者と意思疎通をして、相互理解を醸成していくことが求められています。とりわけ、限られた時間の中で効果的・効率的に対話をして合意形成をするためには、言語表現の明晰性が非常に重要になります。
    また、今日のグローバル化する社会状況の中では、われわれはしばしば第二言語を用いて関係者と意思疎通することが求められることになります。こうした文脈の中では、自己の表現行為の明晰性を高めることは、半ば必須の課題となるのです。
    成人発達理論においては、人間が成長・発達するとは基本的に先述の認知構造が複雑化することを意味します。しかし、ここで重要なことは、それそのものはわれわれの実世界におけるパフォーマンスを必ずしも高めてくれないということです。むしろ、発達段階が高まり世界の複雑性をこれまでよりも考慮することができるようになるときには、そこで把握された世界のひろがりや深さを的確に整理して、他者が容易に理解できる表現にとりまとめいくための意識的な努力がいっそう重要になるのです。
    また、レクティカの研究によれば、この明晰性のスコアは、個人の認知構造がより高次の発達段階に向けて発達していくための準備度合いを示すものでもあります。人間の発達においては、単純に高次の発達段階をめざして上昇していこうとするのではなく、ときとして、今いるところに立ち止まり、自己の内にある知識や洞察や体験を整理したり、剪定したりすることが必要となります。そのような作業にとりくむことが、より高次の発達段階に向けた成長・発達をはじめるための準備作業となるのです。明晰性とは、その指標となるのです。

  3. VUCA:VUCAとは「Volatile」(変動的)・「Uncertain」(不確実)・「Chaotic」(混沌)・「Ambiguous」(曖昧)という4つの言葉の頭文字をまとめた造語ですが、LDMAでは、「VUCA」に関するスコアは、現代人が置かれているこのような文脈の中で他者と効果的・効率的に共同するための能力を他個人がどれくらい有しているかを示すものとして位置づけられています。即ち、ひとり個人としてどれくらい豊富や能力を備えているかということではなく、目まぐるしく流動する状況を敏感に察知しながら、関係者と関係を構築して緊密な共同作業を営んでいくための能力を把握するのです。
    具体的には、LDMAでは、「視点調整」(perspective coordination)・「意思決定」(decision-making)・「文脈思考」(contextual thinking)・「共同能力」(collaborative capacity)という4つの領域に光があてられます。そして、受験者の発達段階を踏まえて、それぞれの領域における能力開発上の課題とそれを克服するための具体的な実践が呈示されるのです。これらの実践に継続的にとりくむことが、最終的には個人の発達段階を高めることにつながるのです。
    人間の発達段階とは直接的に高めることができるものではありません。それは、無数の小さなまなびが蓄積され、それらが相互に結びつくことをとおしてゆるやかに展開するものなのです。換言すれば、「これを実践すれば、高次の発達段階に移行できる」というようなものが存在するのではなく、それぞれの個人の状況(例:現在の発達段階、及び、明晰性とVUCAの領域の課題)を踏まえた適切な実践に継続的にとりくむことが必要となるのです。
    こうした事実を踏まえて、LDMAではVUCAの各領域の能力を伸ばしていくための具体的な実践を受験者に示すことで、効果的に発達段階を高めていくための道筋を明らかにします。

アセスメントの対象者

LDMAは、能力開発にとりくむ全ての人に大きな価値を提供することができますが、特に組織や共同体のリーダーやマネジャー、また、そうしたひとびとを支える支援者(例:コンサルタント・コーチ・ファシリテイター)として困難な課題や問題と日々格闘しているプロフェッショナルには貴重な洞察と情報を提供するものとなります。
しばしば指摘されるように、今日、リーダーやマネジャーとして活躍するひとびとが直面している最大の挑戦は、自己の意識(認知構造)では把握しきれない高度の複雑性をもつ課題や問題に対応することにあるといえます。それらの課題や問題は、既存のテクノロジーやソリューションを適用するだけでなく、自己と関係者の意識や価値観や発想そのものを変化・変容させることなしには解決できないものなのです。
しかし、全ての成人発達心理学の研究者が指摘するように、大多数の人々はみずからに衝きつけられている課題や問題の複雑性に対応するために必要とされる認知の複雑性を自己の内に確立することができないまま「複雑性のギャップ」を前にして日々苦闘をしています。
そして、こうしたギャップは、単に「マネジメント」や「リーダーシップ」に関するスキルを習得するだけでは必ずしも埋めることはできないのです。そこで必要とされているのは、現在、みずからの認知構造の複雑性がどの水準にあり、また、みずからに課されている責任や役割を担うために必要とされる認知構造の複雑性がどのあたりであるのかを正確に把握することです。そして、もしそこにギャップが存在する場合には、それを埋めるための実践を見極め、それにとりくむことなのです。
LDMAは正にそうした情報と洞察を提供してくれるのです。

アセスメントのプロセス

  1. 申し込み
  2. 基本情報記入:アセスメントの中に示される設問をカスタマイズするために基本情報を御提供いただきます。
  3. アセスメント:複数の質問に対して文章で回答していただきます。
  4. 翻訳:Lecticaには英語で回答を提出する必要があります。
    そのために、日本語で回答した場合には、回答を英語に翻訳する必要があります。
  5. フィードバック・セッション(約90分)

本アセスメントに関するお問い合わせ

    性別
    その他回答しない